300文字小説

『翼の上の席』

「指定するなら飛行機の席は翼の上だ」

 父はそう言って、翼の上の席しか選択しなかった。翼のせいで外の景色はよく見えない。私としては不満たらたらだった。

 今年の春、東京から北海道へ引っ越し、一人暮らしをすることになった。これからは飛行機の予約も何もかも、自分でやらなければならない。

 「なんで翼の上にこだわるの?」今さらながら父に聞いてい見ると、「そこが一番安全だからに決まってるだろう」

 そういうことか。いや、でも安全性はどこも変わらないんじゃ・・・。だが、その席が安全と信じてずっと選んできてくれた父の優しさが、親元を離れて改めて身にしみて感じられた。次、東京へ帰る時には、絶対翼の上の席にしよう。

(東京都文京区・学生・18歳)



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